はんなりアクチュアリー勉強記録

京都在住の大学院生がアクチュアリーに挑みます

NHKニュース「年金の給付 経済順調なら50%維持」

年金の給付 経済順調なら50%維持
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140603/k10014942441000.html
6月3日 19時16分

厚生労働省は、およそ100年間にわたる公的年金の財政状況の見通しを公表し、経済が順調に成長すれば、政府が約束している現役世代の平均収入の50%以上の給付水準をかろうじて維持できるものの、経済が成長しない場合は、最悪で35%程度まで落ち込むこともありうるとしています。
厚生労働省は、今回の結果を踏まえ、制度改正を検討することにしており、給付水準を抑制する措置の拡大や保険料の拠出期間の延長などが議論される見通しです。


 <厚生労働省(数理職)採用のしおりより>
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厚生労働大臣の諮問機関である社保審=社会保障審議会の年金部会が開かれ、厚生労働省は、法律で5年に1度行うことになっている、およそ100年間にわたる公的年金の財政状況の見通し、「財政検証」の結果を公表しました。
政府は、現役世代の平均収入に対して、夫婦2人のモデル世帯が受け取る年金額を示す「所得代替率」が、将来にわたって50%を上回ることを法律で約束しており、今年度は、現役世代の平均収入が34万8000円なのに対し、モデル世帯の年金額は満額で21万8000円で「所得代替率」は62.7%でした。
そして今回の「財政検証」では、中長期の経済成長率が1.4%の場合からマイナス0.4%の場合まで8つのケースで検証しました。
このうち経済が順調に成長するとした5つのケースでは、モデル世帯が受け取る年金額の「所得代替率」が現在の62.7%から、およそ30年後に51.0%から50.6%までの範囲に下がるものの、その後、2110年度まで一定になり、かろうじて50%を維持できるとしています。
一方、経済が成長しないとした3つのケースでは、およそ25年後に「所得代替率」が50%を割り込み、2110年度までの間に、45.7%から、最悪で35%程度の範囲まで下がり、政府が約束を達成するのは難しいという結果となりました。
さらに今回は、「オプション試算」として、年金額を一定の割合で強制的に抑制する措置を拡大した場合、国民年金の保険料の拠出期間を40年間から45年間に延長した場合、それに、一定以上の収入のある短時間労働者を国民年金から厚生年金に移した場合などの検証も行い、いずれも今の制度より「所得代替率」が改善するという結果になりました。
今回の結果を受けて厚生労働省は、年金制度をより安定的に運営していくための制度改正を検討することにしており、ことし夏以降、社保審の年金部会で、「オプション試算」の結果も参考に議論が進められる見通しです。


所得代替率」とは
所得代替率」は、働いている現役世代の平均の手取り収入に対し、夫婦2人のモデル世帯の年金額がどの程度の割合になるかを表したもので、年金の給付水準を示す指標です。
モデル世帯は、夫が平均的な収入を得るサラリーマンとして、40年間働いて厚生年金の保険料を納め、妻が40年間、専業主婦だった場合を想定しています。
政府は、働いている現役世代の半分以上の収入があれば、高齢者の夫婦が一定程度の生活水準を維持できるとしていて、将来にわたって、50%以上の「所得代替率」を確保することを法律で約束しています。


日本の公的年金制度
日本の公的年金制度は、現役世代が納めた保険料などで、将来の高齢者ではなく、今の高齢者を支える仕組みです。
ただ高齢者の増加に伴って、現役世代が納める保険料を際限なく上げることは現実的には不可能なことから、今から10年前に制度が改正され、保険料の上限が決められました。
保険料は、3年後の平成29年度まで段階的に引き上げられます。
具体的には、自営業者などが加入する国民年金は月額1万6900円、サラリーマンなどが加入する厚生年金は「標準報酬月額」と呼ばれる平均的な月額報酬の18.3%が上限となります。
厚生年金の保険料は、個人と企業が半分ずつ負担しています。
保険料の上限が決まっているため、年金の給付は、保険料、年金積立金、それに基礎年金の給付に必要な金額の半分を賄う税金を合わせた範囲内で行うことになります。
このため高齢者が増えて年金の給付総額が増加し続けることを想定して、年金額を強制的に抑制する「マクロ経済スライド」と呼ばれる措置があります。
マクロ経済スライド」は、物価や賃金の伸びよりも年金額を低く抑えるものですが、これまで一度も適用されたことはありません。


積立金の運用方針見直しへ
今回の「財政検証」で、今後の年金給付に必要な金額の見通しなどが示されたことを受けて、120兆円を超える公的年金の積立金を運用する、「GPIF=年金積立金管理運用独立行政法人」は運用方針を見直すことにしています。
「GPIF」の去年12月末現在の運用状況は、国内債券が55%、国内株式が17%、外国株式が15%、外国債券が11%となっており、国債などの国内債券に偏っているのではないかという指摘が出ています。
こうしたなか、政府の有識者会議は、去年11月、収益性をより高めるため、積立金の多くを国債に投資している今の運用方針を見直して、リスクのある金融商品にも投資することなどを求める報告書をまとめました。
また、ことし4月には、GPIFで業務の監視や積立金の運用方針の策定などに当たる「運用委員」に新たに7人が任命され、運用方針の見直しを求めた政府の有識者会議のメンバー3人も含まれました。
ただ、株式やリスクのある金融商品への投資については、運用で失敗した際の年金財政への影響を懸念する声も出ています。
GPIFは、今後、新たな「運用委員」の下で来年4月からの運用方針を、年内にも策定することにしていて、株式の運用比率がどの程度になるかなどについて、国内外の市場関係者らの注目が集まっています。


「変えるべき部分は改正」
田村厚生労働大臣は、記者団に対し、「経済が成長し、労働参加が進むという前提では、年金の安定性が保たれることを確認した。だからといって、改革を全くしなくていいわけではなく、被用者年金の適用拡大も含めて、いろいろと議論し、変えるべき部分は改正しなければならない」と述べました。


厚生労働省(数理職)採用のしおり
http://www.mhlw.go.jp/general/saiyo/kokka1/suuri-dl/SUURI_ALL.pdf
数理職の携わる主な仕事 より

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アクチュアリーは死亡率の専門家であるべきか

日本アクチュアリー会 会報 第65号
P.327~330

<死亡率について考える>
アクチュアリーは死亡率の専門家であるべきか


Yes

  • アクチュアリーとしての大きな素養の中に、統計的なスキルがある。我々は与えられたデータを統計的に見ている。生命表の専門であっても、生命保険では経過年数が非常に重要な要因であり、年齢よりも影響が大きいぐらいだということはご存知ないと思います。したがって、生保アクチュアリーは生保の死亡率の専門家かと思います。
  • 実務を行っていると、法令や会計等の実務に関する知識は身につく。そのプラスアルファで、たとえば死亡率に詳しいとか、金利に詳しい、ファイナンスに詳しいなど、何かここだけは強いというアクチュアリーの中での専門性のようなものを各人が持ち、その中の一つが、死亡率なのではないか。


No

  • アクチュアリーはコンダクターでいい。それに基づいてジャッジ、まさにアクチュアリアル・ジャッジメントを下す。
  • バリュエーション・アクチュアリーとして、責任準備金を評価するというのが一つの使命とすれば、その評価に必要な様々な材料を少しずつ使いこなせないといけない。その1パーツが死亡率であって、それに深く精通していなくとも、その使い方や考慮すべきところを把握し、責準評価という業務に対してはしっかりと対応できるという程度の専門性が備わっていればいいと思っています。コンダクターであり、マエストロ。

確率と認知科学

確率の理解を探る―3囚人問題とその周辺 (認知科学モノグラフ 10)

確率の理解を探る―3囚人問題とその周辺 (認知科学モノグラフ 10)


<はじめに>より
(略)
 ところで、本書で扱う「3囚人問題」とは、恩赦になるか、処刑されるのかの運命が決まっている衆人が、看守からの情報をもとに、自分の助かる確率を求めるというものである。これは、数学的な解と人間の直観的な解が著しく異なる問題であるばかりか、数学的な解を説明されればその正しさは理解できるのに最終的な答えは腑に落ちないという、やっかいなシロモノである。しかも、それは数学の苦手な人や素人ばかりではなく、数学に相当自信のある大学生や数理的な仕事をしている専門家でも同様であることがわかってきた。
(略)
 こうした難問は、確率判断における人間の直観的推論の特性を知るための手がかりを提供する。

アクチュアリージャーナルから第2次試験合格のコツを読み解く

第2次試験に向けた勉強を進める上での留意事項
平成20年7月30日

アクチュアリージャーナルは国立国会図書館に所蔵されています。

http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20100531/1275305091


アクチュアリージャーナル第66号(2008年8月)の
「第2次試験に向けた勉強を進める上での留意事項」(以下「留意事項」)
は必読です。

<現状>

  • 第2次試験はアクチュアリーとして実務を行う上で必要な専門的知識と問題解決能力を有するかどうかを判定することを目的にしている。
  • しかし、受験者の解答を見ると、論点を正しく把握し、論点ごとに掘り下げてあるべき姿や対応を示す問題解決能力がかなり不足していると(教育委員会と試験委員会は)感じざるを得ない。


<必要なもの>
単に専門的知識を身につけるだけでなく、

  • 課題に対して論点を的確に把握
  • 各論点に対して、アクチュアリーとしての専門的な考察を加えつつ、事実やメリット・デメリット、他への影響、留意点等の整理・深堀りを行う。
  • 解決策やその効果、判断理由を提示


<問題解決能力向上のための勉強方法>

  • 新たな課題の解決に活用できる見識や知識を身に付ける
    • 語句や語句の意味を正確に覚える
    • その背景
    • 考え方などの理解
    • アクチュアリーとして考慮すべき視点・論点の整理・考察
    • 他の項目との関連付け
  • 時事問題の情報収集
  • 問題意識の醸成
    • 何が論点か
    • 自分はどう考えるか
    • なぜそのように考えるのか
    • 解決のために何をすべきか
  • 文章の構成力・表現力の向上


合格者が問題解決能力を高めるために行った具体的な取組み事例は省略(続きは国会図書館で……)。見出しのみ。

  • 教科書等の読み方
  • 時事問題等の情報収集
  • 過去問題集の活用
  • 論点整理ノートや予想問題集等の作成
  • その他

メモ『アクチュアリー・桑山啓介の転職』

アクチュアリー・桑山啓介の転職

アクチュアリー・桑山啓介の転職


http://www.pi5.fiberbit.net/tacuslay/BOOK1.html


また、アクチュアリーはもともと生命保険分野の資格であり生命保険や年金分野の仕事が主体だったので、 損害保険やコンサルティングの仕事についてはほとんど情報がなく、ネットでも間違った情報が流れていることが多々あるので、 この世界の実態を知らせたいという思いもあって書いた本でした。


この本は私が若い頃の経験を基に書いたので現在は大分変わってきている部分もありますが、 損害保険やコンサルティングあるいは外資系や海外のアクチュアリーの仕事や待遇なども、 外資系で働いていた経験を通して描いているので これらの業界のアクチュアリーの実態を知るうえでは参考になると思います。


損害保険アクチュアリーの設定。

P.9-15 会社の組織、上司の話

P.16-20 労働組合の話。「役員も組合幹部経験者で占められていた」

P.21-30 アクチュアリーを目指すきっかけ。「仕事は簡単だし、高度なことをやろうとすると邪魔されるし、いったい自分は何をするべきなのか、やる気をなくしかけていたところに見たのがアクチュアリー試験の問題だったのである。

P.31-37 システム部における仕事の話、アクチュアリーの世間的イメージ。

http://www.pi5.fiberbit.net/tacuslay/actuary4.html


一般にどのようなイメージがあるかいくつか紹介すると、
1:アクチュアリーとは、時間を尋ねると時計の作り方を教えてくれる人たちである。
2:アクチュアリーは自分たち以外では神としか話をしない。
3:アクチュアリーの妻は不眠症になったら「ねえ、あなたのお仕事について教えて」という。
4:わけのわからないことをいう人に「お前はアクチュアリーか」。


P.38-46 アクチュアリーとして転職しようとしたが結局しなかった話。

「因みにアクチュアリー手当がある会社はみな過去にアクチュアリーを引き抜かれた経験のある中小企業で、待遇面で引き抜かれる心配のない大手会社にはそのような手当はない。」

P.47-52 損害保険会社での数理課の新設。しかし、組合活動により結束した派閥の新経営陣によって数理課が廃止。「役員会 よく見てみれば 同期会」

P.53-62 出向先の「損害保険料率研究所」、災害時における銀行、専門職の話。

P.63-68 デリバティブによるリスクヘッジが専務に理解されない話

P.69-72 転職先の「アルファージャパン」における外国人社長の有様。保険計数人になる。

P.73-76 責任準備金システムのプログラムを修正する仕事

P.77-82 刺激的な米国本社への出張。MBA留学の話。

「彼らは積立保険という概念が理解できない。世界中で積立保険を扱っているのは日本と勧告だけといわれる。欧米人にとっては保険と貯金は別の概念なのである。」

P.83-89 M&Aによりアースジャパンに。商品開発部長兼保険計理人、外資流リストラ「椅子取りゲーム」

P.90-96 他社の人材を引き抜く話。

「小さい会社だと1人の社員が受け持つ業務の範囲が広く何から何までやらされるが、業務内容は簡単というかお粗末な場合すらある。その点大手会社の本社部門だったりすると、個人の業務範囲は狭いがどの部門の人も相当な専門知識を持ち、業務内容が高度な場合が多い。」

P.97-103 バーミューダにあるアースグループの持株会社が開催するチーフアクチュアリー会議に行くまでの話し。

P.104-112 バーミューダのチーフアクチュアリー会議。日本と欧米におけるアクチュアリーのステータスの差。会議の中日でのレクリエーション(ダイビング)。

「... 単に保険料や責任準備金の計算屋と理解されることの多い日本のアクチュアリーとの差を肌身で感じた。」

「一番高いと言われる米国のアクチュアリーの年収は経験を積んだ正会員の場合で3000万円から8000万円のレンジと言われているが、これが日本だと最高でも2000万台で、大手損保の部長クラスなら誰でも稼げる金額である。つまり日本ではアクチュアリーであろうと一般社員と変わらないということである。中小企業の場合は若年層の引き抜き防止や、あるいは逆に他社から引き抜いたりするため、手当てがついたり昇進が早かったりと多少優遇されることが多いが、それとて大手会社の社員には及ばない。」

P.113-123 国際会議。新鮮な魚介料理。ハーレム問題を応用した再保険

P.124-133 管理職の英会話教育プログラムでの講師・ローラ(23)の話。

P.134-168 (飛ばし読み、あまりアクチュアリーに関係ない話?)

P.169-179 外資系で働く注意点、転職するときの注意点。